挨拶アイサツ              
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   予防薬理学研究所は健康及び医療の向上に寄与することを目的に設立され、私はそのメンバー * スポーツと健康
  の一人として当初から参加しました。健康を維持するには食事からの栄養の摂取、食生活の改善 * 機能性キノウセイ表示ヒョウジ食品ショクヒンカンガえる(連載レンサイ
  を心がけることが最も重要です。また、適度の運動をすることも推奨されています。   * 研究ケンキュウ活動カツドウ
   その上で健康食品を上手ジョウズに利用することも選択肢の一つになります。このホームページは、私  
  たち消費者はどのような栄養や健康食品を摂取し、そして運動習慣シュウカンにつければ、健康をタモ  
  ことができるか科学的な情報を発信することを目指しています。      
            伊藤文昭    
                 
  「予防薬理学とその未来」         リンク    
       理事・研究所長 伊藤 文昭(摂南大学 名誉教授)   * 予防薬理学研究所
   この度は予防薬理学研究会の発足おめでとうございます。理事の一人として、疾病の予防 * 奈良ナラマスターズ陸上リクジョウ競技キョウギ
  と薬理学の未来について、述べさせていただきます。        
   健康でありたいという願望は老いも若きも変わりません。高齢者について言えば、いかに  
  健康寿命を延ばすかが大きな関心事となっています。「転ばぬ先の杖」というわけで「疾病  
  発症の予防」の重要性が強く認識され、健康食品・サプリメントが今や大人気となっていま  
  す。また、安部首相が総裁3選を決めた当日の短い会見の中でも医療費削減の切り札として  
  「予防」が強調されているように、個人の願望と財政的な問題を解決したいという国の願望  
  は完全に一致しております。          
   日本の健康食品・サプリメントの市場規模は1兆5千億円を超えており、大衆薬(医師の  
  処方箋なしに薬局で自由に買える薬)の約2倍にもなり、今後もこの市場の拡大が期待さ  
  れています。健康食品は、@国が安全性、有効性に関するなんらかの基準を定めている保  
  健機能食品(機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品を含む)とA「いわゆる健康  
  食品」からなり、いずれの場合も選択・利用は消費者の自由に任されています。厚生労働省  
  の「健康食品」に関するホームページには、「国民がそれぞれの食生活の状況に応じて健康  
  食品を適切に選択する必要があります」と書かれていますが、ほとんどの国民にとり「適切  
  な選択」をすることはかなり難しいと思えます。また、消費者庁はホームページを通じて、  
  「届出食品の科学的根拠等に関する基本情報(一般消費者向け)」など、多くの情報を発信  
  しています。しかしながら、健康食品は多数の健康人が日常的に摂取していることを考える  
  と、「きちんとした分かりやすい情報」の多面的・多角的な視点からの発信と、個々の食品  
  に関する安全性や有効性の科学的な検証が重要となります。      
   医薬品は、動物での非臨床試験と健康人や患者を対象とした治験(フェーズ1、2、3)  
  を経て安全性・有効性が担保されて市販され、市販後も医師・薬剤師の管理下で利用され  
  ています。一方、健康食品についての事前チェックは医薬品に比較してゆるいのが現状で  
  すが、チェックを厳密化するとハードルが高くなり、健康食品業界を委縮させて自由な経済  
  活動を阻害するというジレンマも抱えています。        
   「日本薬理学会の提言」からの抜粋になりますが、薬理学は「薬と生体の相互作用とその  
  基盤となる生命現象を研究することにより、創薬と薬物治療の基盤を確立する科学」であり、  
  また、「薬の“適正使用”に不可欠な作用・副作用の解明を通して薬物治療に貢献する科学」  
  と明記されています。予防薬理学では、医薬品に代わり食品が主役となりますが、@食品と  
  生体の相互作用を研究することにより、食品の作用機序の解明や新たな健康食品の創出、A  
  健康食品の有効性や毒性の解明を通して、健康増進に向けた食品の適切な使用への貢献な  
  どが、その使命として期待されます。予防薬理学は新しい分野であり、「予防」と「薬理学」  
  の二つのキーワードを基に、将来的には「食品」だけでなく「生活習慣」や「運動」などを  
  包含することも考えられ、今後、会員の活発な議論・活動により大きな発展が期待されます。  
   以上のことから、この研究会に多数の方が積極的に参加され、未開の研究分野ともいえる  
  「予防薬理学」の確立・発展に寄与されることを切に希望する次第です。